透析に対する当院の取り組み APPROACH

当院について

早徳病院外観

医療法人社団 双樹会 早徳病院は、昭和45年5月に早徳外科から昭和47年に現在の早徳病院になり外科・透析を中心に始まりました。
現在は、基幹病院や近隣病院からの紹介の透析患者さまを受け入れています。2019年にVA(バスキュラーアクセス)センターを開設し、近隣の病院・診療所からシャントトラブルのある患者さまを受け入れ早期に対応できるシステムになっています。また、当院の無料送迎バスで透析に通院できない方や施設利用されている方の通院サポートし、地域に根差した透析医療を提供しています。

シャントトラブルについて

当院の透析患者さまは年々増加しており、シャントトラブルになる患者さまも増加傾向にあります。穿刺する際にシャント管理について説明をしています。経皮的シャント拡張術(VAIVT)を行いシャントの維持にも努めています。
2020年に検査技師を増員し、定期的なシャントエコー検査ならびにトラブル時には、早期評価可能となりました。また簡易式のエコーも導入し穿刺時に気になった部分を確認、医師に報告し早期に対処できるようになりました。VAIVTは当初造影剤を使える患者さまのみ対応してきましたが、VAセンター開設とともに炭酸ガス下でも治療可能となり造影剤による副作用のある患者さまも対応可能となりました。曜日、時間関係なく早期にVAIVTなどの対応ができるにようになり、これまで以上に迅速に多様な対応が可能になりました。

昨今の透析医療の流れ

我が国の慢性透析患者数は2019年末で約34万人を超えました。また、透析導入の平均年齢は70歳で、透析人口の高齢化に伴い透析導入も高齢化しています。当院でも透析患者さまが高齢化に伴い動脈硬化による合併症、サルコペニア(筋肉量および筋力の低下)、認知症、高齢透析患者さまの社会の受け入れなど様々な問題を抱えています。
そのなかで、透析の合併症対策としてフットケアは重要な役割を持っています。
当院では、糖尿病や動脈硬化などのハイリスク患者さまを中心に定期的に観察・処置を行っています。特に下肢は短期間でも悪化する事があるので、1・3・6か月毎に評価点数により振り分けて足の写真を撮るほか、ABI値(足関節上腕血圧比)やGA値(グルコアルブミン)などの検査データをもとに評価し個々に応じた観察・処置を随時行うように異常の早期発見と指導を行っています。

当院における看護師の役割

2020年は新型コロナウイルス感染症に翻弄されました。透析患者さまは免疫力低下もあるため、感染拡大を防ぐための対策に心がけてきました。2020年4月から待合室・更衣室では密にならない調整を行い、手指消毒の徹底、非接触型の体温測定の導入、発熱専用のベッドの開設、部屋の温度を保ちつつ換気を行うなどの対策下で透析医療を提供しています。
看護師は医師の補助だけでなく患者さまをアセスメントし、医師に必要な情報提供ができる事も求められます。透析看護師の質の向上にプリセプターシップを導入し、質の高い医療提供を心掛けています。また、透析室の環境向上にも力を入れ、働き甲斐のある透析室を目指しています。

最後に

当院の透析患者さまは、高齢化に伴いマルチモビリティ(いくつかの慢性疾患が併存している状態で、診療の中心となる疾患を設定しがたい状態)も増加しています。マルチモビリティの患者さまには医療提供だけでなく、全体像を把握してQOL(クオリティオブライフ=生活の質)を高め、いかにフレイル(自立健康的な生活から要介護状態の前段階)の状態を予防するかが、診療の上でも必要になってきます。
透析は日常生活の一部として考えています。透析を治療だけの点としてみるのではなく、他職種とも協力しながら線(途切れない看護介入)で透析看護が提供できるよう心がけています。
看護部理念の一つ一つご縁を大切にし、誠意と優しさを持って安全で質の高い看護サービスを地域住民の方々に提供していきます。

これからも、患者さまの声を聴き、安心安全を第一優先に心がけた透析医療が提供できるよう尽力していきます。

2021年8月1日 透析看護師長 小林 強

ABIについて

ABI基準値
血糖

ABIは、下肢動脈の狭窄・閉塞を評価する指標です。上腕と足首の血圧から算出されます。ABIは非侵襲的な検査で数値として評価できるので、PAD患者の早期発見に有用です。PAD(末梢動脈疾患)は、心血管疾患や脳血管疾患など他臓器障害との合併が多く見られることからも、早期発見が重要です。

グリコアルブミンは血糖の管理指標です。主に糖尿病の検査で使われています。
グリコアルブミンはグリコ(=ブドウ糖)のくっついたアルブミンという意味を持つ言葉です。 アルブミンは体の中で様々な働きをするタンパク質です。
血液だけではなく体中の大切な組織や体液中に存在し、細胞の形を保つ働きやホルモ ン、栄養素、薬剤成分を運搬する大切な働きをしています。
肝臓でつくられたアルブミンの一部は、血液中のブドウ糖とくっついてグリコアルブミンに なります。グリコアルブミンの量は血糖値が低ければ減少し、高ければ増加します。グリコアルブミンは採血の1ヵ月間(特に直近の2週間前)前から採血時までの平均血糖状態がわかります。

グリコアルブミンとヘモグロビンA1c(HbA1c)の違いは?

グリコ

治療を開始すると、HbA1cはゆっくりと少しずつ変化していきます。
一方、グリコアルブミンは変化率が大きく、治療の効果と患者さんの頑張りがより早く実感できます。